分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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固相抽出法による環境水中ヒドロキシルアミンの前処理及び前濃縮/吸光光度定量法
福森 亮子千賀 有希子奥村 稔藤永 薫清家 泰
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2003 年 52 巻 9 号 p. 747-753

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抄録

ヒドロキシルアミン(NH2OH)は,通常,ヨウ素による亜硝酸への酸化とGriess-Romijin(GR)法(亜硝酸の定量法)との組み合わせによって定量される.しかし,このヨウ素酸化法は共存する亜硝酸及び塩分による妨害を受けるため,環境水中のNH2OHの定量には適用できなかった.著者らはヨウ素酸化法に基づく環境水中NH2OHの定量のための前処理法を開発した.試料水中の亜硝酸をスルファニル酸(ジアゾ成分)とナフチルエチレンジアミン(カップリング成分)で赤色のアゾ色素に変換し,次いでアゾ色素をSep-Pak C18カートリッジを用いて除去することで,亜硝酸フリーの水試料の調製に成功した.一方,塩分による妨害は,あらかじめ水試料の塩分を5‰ 以上に調製することで解決できた.検量線用のNH2OH標準溶液の塩分についても5‰ 以上に調製した.本前処理法を用いるヨウ素酸化法により,淡水から海水まで広範囲の環境水中のNH2OHが定量可能であった.更に本法は,NH2OHから生成するアゾ色素の固相抽出による濃縮法としても有効であった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2003
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