分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
イオンクロマトグラフィーによる水中の残留塩素と他の陰イオンとの同時定量
李 卉野々村 誠伊藤 紀子
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2003 年 52 巻 9 号 p. 819-824

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抄録

電気伝導度検出器を用いたイオンクロマトグラフィー(IC)で,水中の残留塩素と他の陰イオンとの同時定量法を検討した.水中の残留塩素とp-トルエンスルホンアミド溶液を反応させ,生成したクロラミンTにシアン化カリウム溶液を加えて塩化シアンとし,これをシアン酸イオンに酸化してIC法で分析することにより,残留塩素を定量できる.生成したシアン酸イオンは4時間以上安定で,他の陰イオンと十分に分離されるので,同時定量できる.残留塩素0.02~2.0 mg l-1の範囲で生成したシアン酸イオンのピーク面積と良好な直線性を示し,相関係数は0.9999である.本法による残留塩素0.1 mg l-1の相対標準偏差は3.56% である.また,IC法及びジエチル-p-フェニレンジアミン(DPD)吸光光度法で水道水中の残留塩素を定量した結果,よく一致していた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2003
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