分析化学
Print ISSN : 0525-1931
分析化学総説
細胞チップを用いるバイオアッセイ
鳥澤 勇介珠玖 仁安川 智之末永 智一
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2004 年 53 巻 5 号 p. 367-382

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抄録

細胞を用いたアッセイ法は,細胞機能の評価や薬剤スクリーニング,環境モニタリングに広く利用されている.近年の細胞培養技術及び微細加工技術の進歩に伴い,細胞のチップ化,集積化によるアッセイ法の開発が盛んに検討されている.細胞チップによるアッセイ法は,少量の試料で多項目を評価可能であり,迅速かつ簡便なアッセイ法の構築が期待される.本稿では,細胞及びセンサーを基板上に集積化した細胞チップによるアッセイ法について総説する.細胞集積化技術としては,細胞パターニング技術及び3次元培養技術に関して紹介する.これらの培養技術は,細胞の分化機能や極性機能を制御可能とし,in vitroにおいて生体内機能の再現が期待されている.細胞機能の評価法としては,非侵襲測定法であるpH,酸素,インピーダンス測定について紹介する.また,細胞チップの特徴を生かした適用例として,患者より摘出したがん組織を対象とした,抗がん剤感受性試験への応用について紹介する.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2004
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