分析化学
Print ISSN : 0525-1931
報文
酵素•メディエーター積層修飾電極における触媒定常電流の膜厚依存性
石井 章夫辻村 清也加納 健司
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 56 巻 6 号 p. 419-424

詳細
抄録

メディエーター型酵素修飾電極の設計では,酵素利用効率の向上,酵素固定化膜内電子移動,膜での基質の物質輸送などを念頭においた酵素修飾膜厚の制御が非常に重要な因子となっている.本研究では,酵素固定化膜の膜厚を操作回数で簡便に制御できる静電的相互作用を利用したレイヤーバイレイヤー法に注目し酵素電極を作製し,評価方法の検討を行った.アニオン性であるκ-カラギーナンとカチオン性であるピロロキノリンキノン依存性グルコースデヒドロゲナーゼとメディエーターであるオスミウム修飾ポリマーから成る酵素•メディエーター積層修飾電極を作製した.バイオエレクトロカタリシス反応の膜厚依存性を触媒定常電流により評価した.膜厚が増えるにつれて触媒定常電流値は増加し,やがて限界値に達した.この膜厚依存性挙動を,酵素反応速度パラメーター,メディエーター及び酵素濃度,メディエーター拡散係数などをパラメーターとする反応層理論に基づいた理論式で解析できることを実証した.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry 2007
前の記事 次の記事
feedback
Top