抄録
主成分分析法による混合物の非分離定量法は,既に主成分回帰分析(PCR)に応用されているが,PCRでは3種類以上の化合物が混合している場合には,混合比の明らかな多数の既知試料で検量線を作成しても精度の良い定量結果を得ることは困難である.それに対し,混合している可能性のある各化合物の純品と未知試料で主成分分析を行い,得られた最終主成分の既知試料の主成分得点を用いて定量する本方法は,複数の化合物が混合している未知試料中の各化合物の混合比を精度良く定量できる方法である.本方法を質量分析の測定値に応用したところ,有機溶媒中の各化合物の混合比を極めて精度良く定量できることが明らかとなった.更に,本方法を回収された有機溶媒の産業廃棄物に応用したところ,迅速に精度良く定量できた.