分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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重力滴下-蒸発法によるホルムアルデヒド標準ガス発生法の開発と呼気ホルムアルデヒド分析への応用
上田 実手嶋 紀雄酒井 忠雄
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2008 年 57 巻 8 号 p. 605-611

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抄録

新規な重力滴下-蒸発法を用いるホルムアルデヒド(HCHO)標準ガスの発生法を開発した.シリンジにキャピラリーチューブを固定し,そのシリンジ内にHCHO標準溶液を入れる.これを垂直に保持することで重力により標準溶液をキャピラリーを通して39.5 nL/minの速度で滴下する.滴下部は40℃ に加温されるので,標準溶液が完全気化し,HCHO標準ガスが発生する.この標準ガス発生法により,HCHOの拡散スクラバー捕集-フローインジェクション(FI)蛍光分析システムの濃度校正を行うことが可能であり,HCHO 3.68~147 ppbvの濃度範囲で良好な検量線を得た.HCHOは5,5-ジメチルシクロヘキサン-1,3-ジオンを用いて蛍光誘導体化して検出した(励起波長395 nm,蛍光波長463 nm).1時間当たり20試料のHCHOを計測することが可能である.本システムを呼気HCHO分析に応用したところ,4名のボランティアから5.8~11.8 ppbvのHCHOを検出した.また,喫煙習慣のあるもう1人のボランティアでは,喫煙によりHCHO濃度の上昇が確認された.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2008
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