抄録
新規蛍光試薬として2,3-ジヒドロキシナフタレン-6-スルホン酸(2,3-DHNS)が良好なホウ素検出試薬であることを見いだした.ホウ素濃度0~1 ppmの間で一般に用いられる標準角型セルを用いて検量線を作成すると0.998の良好な直線関係が得られ,検出限界は9 ppbであった.測定は,励起波長295 nm,蛍光波長360 nmで行った.ホウ素の検出試薬として用いられているジヒドロキシナフタレンは,試薬自身により励起光と蛍光を吸収してしまう.この結果として,得られる蛍光強度が減少し,感度に影響を及ぼす.2,3-DHNSにおいても同様な現象が見られることから,過剰試薬の影響減少を期待し,三角セルを利用する方法を検討した.その結果,ホウ素濃度0~1 ppmの間で検量線を作成すると,相関係数0.999の良好な直線関係が得られ,感度は約2倍に増幅され,検出限界は3 ppbであった.本法を河川水標準試料に適用した結果は良好であった.