アシタバAngelica keiskei KOIDZUMIは八丈島を原産地とする日本固有のセリ科の大型多年草である.現地では古くから,野菜又は民間薬として利用されている.本植物は根,茎,葉に多量の黄色物質を含んでいるのが特徴である.著者等は植物学的形態と高速液体クロマトグラフィーによるクマリン成分のプロファイルに基づき,産地による比較分類を行った.またこの黄色成分の単離,構造解析を行い,10種の新規カルコン類の存在を明らかにし,更に種々の生理作用(胃酸分泌抑制作用,抗腫瘍作用,ヒスタミン遊離抑制作用など)があることを確認した.そこで,伊豆諸島の地域農業の振興を目的に,高カルコン含量のアシタバの系統育種を行い,新品種を開発した.