分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
Okamoto-cavityマイクロ波誘導プラズマ発光分析法を用いる4-メチル-2-ペンタノン抽出における金の迅速定量法
西本 由美子我妻 和明
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2009 年 58 巻 3 号 p. 153-157

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抄録

金は貴金属として高い価値があることから完全回収が期待されている金属資源である.MIBK(4-methyl-2-pentanone)を用いた溶媒抽出法は,pHを適切に制御することにより金を選択的に回収できるため優れた捕集方法である.有機相に抽出される金の迅速定量を行うために,Okamoto-cavityマイクロ波誘導プラズマ(MIP)を励起源とした発光分析法を用いて,有機物試料をプラズマに直接導入する方法を確立した.窒素-酸素混合ガスを用いたMIPプラズマはMIBKを導入した場合においても極めて安定に点灯し,有機物試料を完全に酸化分解できることを確認した.金の分析線としてAu I 242.795 nmとAu I 267.595 nmの発光挙動を調べたところ,両者とも金の高濃度域で自己吸収が観察された.検量線の直線範囲が広いAu I 242.795 nmを分析線とした場合,MIBK溶液における検出限界は0.0008 g/dm3であった.また,金の2 M塩酸溶液を用いて一連のMIBK抽出操作を行ったところ,金の水相から有機相への分配比は200以上の値が得られた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2009
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