分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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色彩応答膜を用いるカドミウム(II)の多検体簡易分析
井上 和哉滝澤 阿輝子斎藤 貴
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2009 年 58 巻 7 号 p. 603-607

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抄録

Cd2+と錯形成する1-(2-ピリジアルアゾ)-2-ナフトール(PAN)を含む高分子膜を96穴マイクロプレートのホール底面に固定化し,この膜を感応部とした色彩変化によるCd2+の簡易迅速な測定法について検討を行った.8.9×10−7~1.2×10−5 mol dm−3の濃度範囲のCd2+を約1時間で96検体の定量が可能であった.また高分子膜の吸光度は1.2×10−5 mol dm−3のCd2+水溶液を同条件下で10回繰り返し測定したところ,吸光度の平均は0.164±0.008,相対標準偏差は2.43% であった.共存金属イオンの妨害についてはマスキング剤の添加,溶媒抽出による前処理を加えることで発色の影響を抑制することができた.Cd2+添加河川水試料を用いて本法と原子吸光光度法の定量値の相関を調べたところ,良好な相関を示した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2009
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