分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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天然水中有機物の光分解装置の製作と化学発光法を用いたその性能評価
藤原 祺多夫大迫 佑太佐々木 孝菜熊田 英峰青木 元秀川島 範男
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2010 年 59 巻 11 号 p. 1021-1028

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抄録

化学的酸素要求量(COD)測定法は,様々あるが,日本国内で最も用いられているのは,法定試験方法である酸化剤を過マンガン酸カリウムとしたCODMn(100℃ における過マンガン酸カリウムによる酸素要求量)である.本研究では,CODMnに則り,ルミノール化学発光を利用して全フロー系で測定する方法を考案し,その評価を行った.ここでは,有機物と反応した後の残存したMnO4を,直接ルミノール化学発光で定量,COD対応値とする.また天然水のCODMnを低下(分解)するための光分解装置の作製とその分解能評価を化学発光で行う方法を考案した.ここでは,PFAマイクロチューブ(内径0.2 mm,外径0.4 mm)を石英ランプに巻きつけ,低圧水銀ランプを石英管中心部から照射する,安価かつ簡便な光分解装置を作製した.低圧水銀ランプの254 nm輝線の透過率は,石英管 : 82.8%,PFAマイクロチューブ : 55.0% であった.従って,低圧水銀ランプから照射されている254 nm輝線はPFAマイクロチューブを通っている試料に45.5% 当たっていることになる.この装置を用いて,有機化合物水溶液及び天然水のCOD測定と,その光分解に適用した.ここでCODについてほとんど光分解できない天然水から,90% まで分解できるものが存在した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2010
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