分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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液体クロマトグラフィー/質量分析法を用いる環境水中副腎皮質ステロイド類分析法の開発
宮本 葵北市 裕子内倉 和雄
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2010 年 59 巻 4 号 p. 301-309

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抄録

環境試料中に含まれる副腎皮質ステロイド類の液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)法を確立し,河川水に適用した.測定対象とした副腎皮質ステロイドは,プレドニゾロン,デキサメタゾン,ベタメタゾン,トリアムシノロンアセトニド,フルオシノロンアセトニド,酢酸プレドニゾロン,酢酸ヒドロコルチゾン,吉草酸ベタメタゾン及び二プロピオン酸ベタメタゾンの9種である.採水した河川水はガラス繊維ろ紙でろ過した後,ろ液からの測定対象物質の抽出及び濃縮を固相抽出法で行った.溶出にはアセトニトリル5 mLを用い,この溶液を濃縮し,アセトニトリルで溶解して1 mLとしたものをLC/MSに注入した.移動相はアセトニトリル-酢酸アンモニウム緩衝液を用いてグラジェント溶離し,MSで検出した.最適条件下,作成した各測定対象物質の検量線は相関係数0.9971以上の直線性を示し,検出限界はS/N=3とした時0.7~2.4 ng/Lであった.また,本測定法を河川水に適用した結果,10 ng/Lの添加回収試験において回収率は56.2~110%であった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2010
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