分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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全電子収量軟X線吸収測定における試料成分間の全電子収量比
村松 康司Eric M. Gullikson
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2010 年 59 巻 6 号 p. 455-461

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抄録

試料電流を計測する全電子収量軟X線吸収測定において,定量分析の観点から混合試料の組成比と全電子収量(TEY)との相関を明らかにすることを目的として,sp2炭素(カーボンブラック粉末)とsp3炭素(ダイヤモンド粉末)を成分とする混合試料のCK端全電子収量吸収スペクトル(TEY-XAS)と,ホウ素粉末と炭素(カーボンブラック粉末)を成分とする混合試料のBK~CK領域TEY-XASを測定した.放射光を用いたTEY-XAS測定はAdvanced Light Source(ALS)で行った.その結果,カーボンブラックに対するダイヤモンドのTEY比は0.12で,ホウ素に対するカーボンブラックのTEY比は0.32であり,成分間でTEY比が異なることが分かった.また,このTEY比を考慮すれば,混合試料のTEY-XASは成分ごとのスペクトルの和で表すことができることを確認した.これより,各成分のTEYを適切に補正すれば,TEY-XAS測定から混合試料の組成・定量分析が可能であることを示唆した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2010
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