分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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2-アミノベンゼンチオール及びその誘導体を配位子とする白金(II)錯体の近赤外光吸収特性評価とその微量白金(II)イオン定量への応用
藁科 知之星野 仁
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2010 年 59 巻 7 号 p. 597-603

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抄録

2-アミノベンゼンチオール(ABT)及び電子求引基を導入したABT誘導体である4-クロロ-2-アミノベンゼンチオール(4-ClABT),5-クロロ-2-アミノベンゼンチオール(5-ClABT),4-ブロモ-2-アミノベンゼンチオール(4-BrABT)の,界面活性剤ミセル水溶液系におけるPt2+との錯形成反応をその錯体の近赤外光吸収特性から評価した.錯体の近赤外発色反応に対して,酸化剤であるヨウ素を1.0×10−4 M共存させると有効であることが分かった.また,ABTの4位に電子求引基を導入することによって,その白金(II)錯体の近赤外吸収のモル吸光係数εが増大し,吸収極大波長λmaxも長波長側へシフトした.4-BrABT錯体では,λmax=759 nmにおいてε=7.5×104 M−1 cm−1であった.この錯形成反応及び近赤外発色反応は,他のd8遷移金属イオンであるNi2+及びPd2+による妨害をほとんど受けないことから,本配位子群の微量Pt2+の定量試薬としての可能性を見いだした.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2010
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