分析化学
Print ISSN : 0525-1931
年間特集「土」:総合論文
鉱物資源の鉱床成因研究─同位体比分析とSIMS分析の有用性─
森下 祐一
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2011 年 60 巻 12 号 p. 921-937

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抄録

鉱物資源は現代社会に不可欠である.産業だけでなく日常生活のすべての場面で利用されているが,近年いくつかのレアメタル資源の供給が逼迫して社会問題となっている.現代社会では貴金属を含めたレアメタルだけでなく,鉄やベースメタルと呼ばれる銅,鉛,亜鉛などを安定供給することが重要な課題となっている.鉱物資源を探査・発見して利用するためには,それが形成されるメカニズム(成因)を知る必要がある.鉱物資源として重要な熱水性鉱床の成因研究には地表の土や岩石の分析が重要であるが,軽元素安定同位体比分析法や二次イオン質量分析法(SIMS)は有力な分析法である.鉱床成因研究における軽元素安定同位体の性質を概観し,それを熱水性鉱床(スカルン型鉱床,深熱水性鉱床,浅熱水性鉱床)に適用した研究で鉱床成因の一端を明らかにした.また近年重要性を増しているSIMS微小領域分析により,鉱床鉱物等のミクロな元素分布や同位体の挙動が解明されつつある.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2011
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