抄録
ビール系飲料中の9種のヘテロサイクリックアミン類の実態調査を目的に,親水性相互作用液体クロマトグラフィー-質量分析計を用いた迅速分析法を開発した.移動相中のギ酸アンモニウム濃度及びLCカラム種等の検討を行い,分析条件を最適化した.本法の妥当性評価を行ったところ,各ヘテロサイクリックアミン類に対して,検量線の相関係数はr > 0.999,繰返し測定精度は相対標準偏差0.7~2.7%,検出限界は0.0090~0.19 μg L-1であった.また,各成分の添加回収率は,淡色ビールにおいて77~123%,濃色ビールにおいて61~96% であった.本法を用いて各種ビール系飲料20製品中のヘテロサイクリックアミン類含量調査を行ったところ,いずれの製品中からもヘテロサイクリックアミン類を検出しないことを確認した.よって,ビール系飲料中のヘテロサイクリックアミン類を起因とする健康上のリスクは極めて低いと考えられる.