2012 年 61 巻 6 号 p. 489-499
D-アミノ酸はL-アミノ酸の鏡像異性体であり,近年,哺乳類などの高等動物体内における新規機能性物質やバイオマーカーとして急速に注目を集めている.L-アミノ酸がタンパク質の構成要素や栄養源として体内に多量に存在することと比較し,鏡像異性体であるD-アミノ酸の含量は極めて低いことが多い.したがってその分析は多種多様なペプチドやアミノ化合物の妨害を受けることが多く,正確な含量解析には高感度で高選択的な分析法が必須である.本総合論文では,生体内における様々なアミノ酸を対象として,D体とL体を切り分けた一斉含量解析を可能とする二次元ミクロ高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析法について紹介する.