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分析化学
Vol. 61 (2012) No. 9 p. 783-790

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http://doi.org/10.2116/bunsekikagaku.61.783

報文

キラル高速液体クロマトグラフィー/質量分析法(HPLC/MS)を用いて,食用油に微量存在し,安全性が危惧されているグリシドール脂肪酸エステル(GE)の光学異性体を分離,定量する方法を検討した.HPLC分析には,アミロース誘導体を固定相とするカラムとアセトニトリルに少量のメタノールを添加した移動相を使用した.MSには四重極型質量分析計を用いて,大気圧化学イオン化法で正イオンスペクトルを測定した.その結果,炭素数と不飽和度の異なるGEの光学異性体が明瞭に分離され,それぞれから顕著なプロトン化分子[M+H]が検出された.このイオンを用いる選択イオン検出法によって,ジアシルグリセロールを約80% 含有する食用油(DAG油)を直接分析した結果,アシル基の異なる5種のGE(16 : 0-GE,18 : 0-GE,18 : 1-GE,18 : 2-GE,18 : 3-GE)が検出され,これらはいずれも(R)-異性体と(S)-異性体のほぼ等量混合物であることが明らかになった.得られた結果から,DAG油に含まれるGEの光学異性体は,ほぼラセミ体の1-モノアシルグリセロールから生成するものと考えられた.

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