分析化学
Print ISSN : 0525-1931
総合論文
LC/Q-ToFMS/MSによる環境汚染物質のノンターゲット分析
鈴木 茂
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2013 年 62 巻 5 号 p. 379-391

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抄録

液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析(LC/MS/MS)による環境汚染物質のノンターゲット分析法について,これまでの研究成果を報告する.分析法は液体クロマトグラフィー/四重極・飛行時間質量分析(LC/Q-ToFMS/MS)による方法である.112種の環境関連化学物質の分子関連イオン,プロダクトイオン,中性ロスの元素組成からタンデム質量分析(MS/MS)のフラグメンテーションを解析した.得られた232の前駆イオン,400のプロダクトイオン及び172の中性のロスの構造と組成を,暫定版フラグメンテーションデータベースにした.モデル化合物としてBendiocarbの液体クロマトグラフィー/飛行時間質量分析(LC/ToFMS)のマススペクトルを,本法及び対照法としてMet Fragで解析した.本法ではBendiocarbを含む2種類の農薬のみが同定されたが,Met FragではBendiocarbはChem Spiderで検索された1754物質中から27番目の類似度で検索された.両者の同定のアルゴリズムは異なる.本法では,マススペクトルのパターンは比較せず,フラグメンテーションを解析し,イオン及び中性ロスの部分構造を返す.このことは,分子関連イオンが,データベースで見つからなくても,あり得る部分構造を報告できる可能性があることを意味している.しかし,現在の暫定版フラグメンテーションデータベースはまだ小さく,ノンターゲット分析への応用は難しい.更に研究が必要である.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2013
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