分析化学
Print ISSN : 0525-1931
年間特集「金」:報文
銀シェル金ナノロッド固定ITO基板の顕微分光特性とSEM観察
新留 康郎鶴 由貴子濱崎 祐樹中嶋 直敏
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2014 年 63 巻 11 号 p. 857-865

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抄録

銀シェル金ナノロッドを静電的相互作用によって透明導電性基板(ITO基板)表面に固定した.固定条件を最適化することで凝集体の生成を抑制し,さらに固定密度を制御した.暗視野照明装置とマルチチャンネル分光器を用いて単一粒子の光散乱スペクトルを計測し,光散乱がナノロッドの表面プラズモンに由来していることを確認した.さらに,暗視野像と走査型電子顕微鏡(SEM)像を照合し,基板上の配向・凝集状態と散乱光の色の相関を調べた.ナノロッドの2量体は赤色,「寝た状態」で固定された孤立分散ナノロッドは緑色,「立った状態」で固定された孤立分散ナノロッドは青色,3個以上のナノロッド凝集体は白色の散乱光を示すことが分かった.基板上のナノロッドのうち,「寝た状態」のナノロッドは約半分,「立った状態」は約1/4,2量体と凝集体はそれぞれ1/8の割合であった.ナノロッド固定基板ではナノロッドの凝集状態に加えて,配向状態にも配慮しないとその分光特性を説明できないことが分かった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2014
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