分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
微量元素濃度及び重元素同位体比を利用する小麦の産地判別
石田 悦基中村 健治有山 薫川崎 晃
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2014 年 63 巻 3 号 p. 255-261

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抄録

食の安心・安全指向の増大など,食品を取り巻く環境の変化により,科学的手法による産地判別技術の開発が強く望まれている.本研究では,小麦産地の土壌に由来する微量元素の濃度及びストロンチウムと鉛の同位体比を高分解能型誘導結合プラズマ質量分析装置(HR-ICP-MS)により測定し,これらの結果をもとに統計的に産地判別が行えるかを検討した.オーストラリア産,日本産,北米産の小麦二年分の測定結果から,原産地ごとの微量元素濃度及び同位体比の特徴を明らかにし,微量元素(Rb,Sr,Mo,Ba,Mn,Co,Zn,Se)濃度及びストロンチウム同位体比(87Sr/86Sr)の9パラメーターによる判別分析を用いると,それぞれの産地が判別できる可能性が示された.さらに,オーストラリア東部地区,西部地区及び日本産または北米産の3群がRb,Sr,Ba濃度及び87Sr/86Srの4パラメーターで判別できた.また,2009年度及び2010年度の結果では,年度による影響は認められなかった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2014
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