分析化学
Print ISSN : 0525-1931
報文
大気中揮発性メチルシロキサン類分析法の開発と環境モニタリングへの適用
堀井 勇一蓑毛 康太郎大塚 宜寿茂木 守竹峰 秀祐山下 信義
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 67 巻 6 号 p. 313-322

詳細
抄録

揮発性メチルシロキサン(volatile methylsiloxanes, VMS)の大気中濃度を測定するため,そのサンプリング法,使用機材のヘキサン溶出試験,試料処理法,ガスクロマトグラフ/質量分析計(gas chromatograph/mass spectrometer, GC/MS)分析条件を検討した.サンプリングは,固相カートリッジとミニポンプを用いる簡便な方法を確立した.GC/MS分析は,プレスフィット型インレットライナーを用いることでピーク形状を改善し,VMS分析の高感度化を達成した.確立した分析法を用いて,埼玉県加須市における通年観測を実施し,当該物質の大気中濃度分布を国内で初めて明らかにした.そのVMS総濃度の年平均値は332 ng m−3であり,諸外国の環境大気濃度の範囲内と示された.通年観測から得られたVMS総濃度は63〜1150 ng m−3と広範囲を示した.これは季節的な気象変化によるものではなく,対象化合物中で最も濃度組成の高いオクタメチルシクロテトラシロキサンの日間濃度変動が大きく寄与しているものと示された.

著者関連情報
© 2018 The Japan Society for Analytical Chemistry
次の記事
feedback
Top