分析化学
Print ISSN : 0525-1931
総合論文
機能水の分析-アルカリクロライド水溶液を用いる環境に優しい分析法-
荒井 健西本 右子
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2020 年 69 巻 12 号 p. 673-678

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抄録

アルカリクロライドの希薄水溶液を取り上げ,機能水の例として電気分解によって生成される電解水の分析及び0℃ 以下で塩と水の共融点以上の温度域を利用した分離濃縮システムの構築の可能性について示した.電解水は生成した次亜塩素酸の作用によって殺菌効果を示すが,次亜塩素酸以外の活性酸素等の殺菌作用への関与が示された.また電解助剤として用いる塩のアルカリ金属イオンの影響もあり,塩化ナトリウムより塩化カリウムの方が活性酸素の寄与が大きいことがわかった.用途にあった調製方法の検討がさらに必要である.アルカリクロライド水溶液をアルカリクロライドと水の共融点以上水の融点以下の−10℃ 付近に保持し,無機陽イオンや有機低分子を分離濃縮できるシステムの構築を進めている.有害な化学物質を用いない環境に優しい分析法としてさらなる研究を進めている.

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© 2020 The Japan Society for Analytical Chemistry
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