2020 年 69 巻 9 号 p. 439-454
核燃料として用いられるウランは放射性物質であり,ウラン汚染のスクリーニングは放射線計測により行われることが多い.しかし,長半減期核種であり比放射能が極めて低いウランは,放射線計測よりも,原子数を対象とした検出方法で検出するほうが効果的である.このような測定法の一つに蛍光X線分析法があり,前処理等が簡便なため,スクリーニング測定に適している.本稿では,まずウランの特性や蛍光X線分析のウラン汚染スクリーニング法としての優位性を解説し,さらに,著者らがこれまでに開発してきた創傷部ウラン汚染及びウラン汚染水の蛍光X線分析によるスクリーニング法について網羅的に概説する.このうち,ウラン汚染水については,全反射蛍光X線分析法によるものである.