分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
イオン選択性オプトードを用いる比色分析用紙基板デバイスによる唾液中のNa, K, Ca2+の同時定量分析
末永 泰広柴田 寛之前島 健人蛭田 勇樹Daniel CITTERIO
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2021 年 70 巻 3 号 p. 165-173

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抄録

唾液中のイオン成分分析は,健康状態を調べるうえで有効な手段として注目されている.本研究では,唾液中のNa, K, Ca2+のイオン選択性オプトード(ISOs)による同時定量分析が可能で簡便かつ使い捨て可能なマイクロ流体紙基板デバイス(μPADs)を開発した.このμPADsは,ろ紙の3層構造を持ち,サンプル注入領域へのサンプル滴下後,検出領域での比色応答を確認することでイオンの多項目定量分析が可能となる.各イオンの選択係数を元に他イオンからの干渉を補正することで,3種イオンの同時定量を達成した.また,被験者から採取した唾液サンプルを用いた添加回収試験では,78〜132% の回収率が得られ,開発したμPADsによる唾液中のNaの定量分析を実証した.最後に,その場分析(POCT)に向け,μPADsのiPhoneを用いた検出系を確立した.開発したμPADsは低コスト(<33円/μPADs),迅速(<5分)かつ簡便な分析操作が可能である.

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© 2021 The Japan Society for Analytical Chemistry
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