2024 年 73 巻 3 号 p. 63-69
ローリングサークル増幅反応(Rolling circle amplification, RCA)は,環状DNAを鋳型にしてポリメラーゼ伸長反応で長い一本鎖DNAを合成する方法である.環状DNAに相補的な配列を繰り返し持つので,蛍光標識オリゴDNAを作用させることで,1分子であっても複数の蛍光色素で標識された強いシグナルを持つ粒子になる.現在RCA反応は,組織・細胞試料中のDNA・RNA検出する際に,分析対象のシグナルを増強する手段として用いられている.また,細胞の形状を保ったまま,DNAのシークエンスを行うことも実現している.本稿では過去10年間のRCAを用いた細胞・組織中のDNA・RNA検出法の発展について紹介する.