2024 年 73 巻 4.5 号 p. 141-146
ショウガは抗酸化能を有する香辛野菜である.抗酸化能を示す主成分である6-ジンゲロール,6-ショウガオールは,加熱調理過程で含有量が変化することが知られている.本研究では,種々の加熱調理による6-ジンゲロール及び6-ショウガオールの濃度変化をLC-UVで測定し,さらにESRを用いて抗酸化能の変化を評価した.ショウガの加熱調理法として電子レンジ,炒り,茹で,蒸しの4種を採用した.LCのカラムにはODSカラムを用いて,測定波長は228 nmとした.ESRはOHラジカル及びO2−ラジカルに対するラジカル消去活性を評価した.茹で,蒸し試料では,非加熱試料と比較して6-ジンゲロール量が減少し,6-ショウガオール量が増加しており,加熱によって6-ジンゲロールから6-ショウガオールへの変換が起きていることが明らかになった.また,非加熱試料を含むショウガ試料において,強いO2−ラジカル消去活性を示していた.これらのことから,ショウガは,OHラジカルよりもO2−ラジカルを消去することで抗酸化能を示すと示唆された.