抄録
鉄鋼中のチタンの光度定量として,JIS法には過酸化水素を用いる方法,アリザリンスルホン酸ナトリウムを用いる方法が採用されている.前者は微量チタンの定量には感度が不足し,バナジウムなどが存在すると正誤差の原因となる.後者においては感度は高いが,発色時の操作条件を十分一定にしないと呈色が不安定となり,結果がばらつきやすいなどの欠点があり,工場分析としては不都合を生じている.著者らはハイドロキノンを用いる方法について検討し,試料の分解方法ならびに操作などを改良することにより,鋼および銑鉄中の微量チタンを精度よく定量することができたので報告する.