分析化学
Print ISSN : 0525-1931
高分子量アミンによるタリウムの分離定量
分析化学への高分子量アミンの応用(第4報)
鈴木 俊雄外林 武
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1965 年 14 巻 5 号 p. 414-419

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抄録

タリウム(III)は,希臭化水素酸,または希塩酸溶液(0.1~0.5N)から高分子量アミン溶液(Amberlite LA-1キシレンまたはベンゼン溶液)によりほとんど完全に抽出される.アミン相に抽出されたタリウムは従来の逆抽出剤ではほとんど効果がなく,アルカリ緩衝溶液中にEDTAを共存させたものを逆抽出剤に用いることにより,タリウム(III)を加水分解することなく定量的に水相にふりもどすことができた.実際のタリウムの分離定量法は次のように操作した.mg量のタリウムは,5%LA-1キシレン溶液で抽出後,タリウムに一定過剰量のEDTA溶液と緩衝溶液(pH10)を加えたものを逆抽出剤としてタリウムを水相にふりもどす.水相をpH5に調節後,キシレノールオレンジ指示薬を用い,0.01Mトリウム標準溶液で過剰のEDTAを逆滴定してタリウム量を求める.μg量のタリウムは,0.1%LA-1ベンゼン溶液で抽出後,同様に逆抽出して,水相中のタリウムをマラカイトグリーンを用いて比色定量(測定波長635mμ)する.この抽出条件で他の金属イオンの抽出率はきわめて低いので,多くの金属イオンからタリウムを分離定量することができる.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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