分析化学
Print ISSN : 0525-1931
4-(2-ピリジルアゾ)レゾルシンによるニッケルの吸光光度定量
四条 好雄武内 次夫
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1965 年 14 巻 6 号 p. 511-515

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抄録

4-(2-ピリジルアゾ)レゾルシン(PAR)はニッケルと鋭敏に反応して赤色の水溶性錯体を生成する。この錯体の極大吸収は494mμにあり,pH8.6~10において一定の吸光度を示す.錯体は安定でEDTAを添加しても吸光度はほとんど変化しない.EDTAの添加によって他の多くの金属錯体の呈色は消失し,ニッケル定量の選択性が著しく向上する.コバルト,鉄,チタン,バナジウム,ハフニウムなどは微量共存しても影響するが,多量のフッ化カリウムによって1mgの鉄(III),1mgのチタン(IV)は陰ぺいされる.微量のコバルトは過ヨウ素酸カリウムとピロリン酸ナトリウムで陰ぺいされる。またチオグリコール酸によって10mgの銅が陰ぺいされる.
分子吸光係数は7.3×104で,0.05μg/ml~10μg/mlにおいてベールの法則に従い,この発色試薬により微量ニヅケルの吸光光度定量が可能である.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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