分析化学
Print ISSN : 0525-1931
スポットテストの基礎および最近の諸問題
坂口 武一
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1966 年 15 巻 2 号 p. 187-193

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抄録

特異的,選択的かつ鋭敏な反応はFeiglのスポットテストから生まれたもので,スポットテストとF.Feiglとは切っても切れない密接な関係にある.
Feiglの名著“Die Verwendung von Tüpfelreaktionen in dor qualitativen Analyse”,および“Qualitative Analyse mit Hilfe von Tüpfelreaktionen”,3rdEd.,(1938)は幾度かFeiglによって増補改版され,また協力者によって英訳され,“Spot Test in Inorganic Analysis”,5 th Ed., (1958),および“Spot Test inOrganic Analysis”,6 th Ed.,(1960)に分冊されて発展している.その間Feiglは“Chemistry of Specific,Selective and Sensitive Reactions”(1949)を著わしスポットテストの反応機構を研究した.
スポットテストはロ紙または滴ざらとスポイトを用いる方法から出発しているが,その応用はきわめて広範囲である.
すなわち,この技法によって反応化学の基礎が解明され,有機試薬ならびにキレート化学の発展,触媒反応の鮮明あるいは有機官能基分析の発達などを促し,各分野の化学に貢献するところ甚大である.
スポットテストは限界濃度(dilution sensitivity)においても,確認限界(absolute sensitivity)においても,通常の分析では到達しえない鋭敏度を有していることがしばしばであるといってよい.そのうえ簡易分析ではあるが,反応の確実性,信頼性がきわめて大きい.
したがって,スポットテストは定性分析の分野ばかりでなく,半定量分析の,いな定量分析の分野でさえも重要な価値をもってきた.
そして応用スポットテストの範囲はますます拡大され,無機分析,有機分析だけでなく,食品分析,生化学分析,臨床分析,薬品分析,鑑識化学の各領域においてまた細菌学,酪農,公害,大気汚染の領域でもスポットテストの応用は必要欠くべからざるものとなった.
次に最近の文献によって各実験例をあげてスポットテストを解説しよう.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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