1972 年 21 巻 4 号 p. 480-486
アルミニウム中の微量成分の定量法は従来種々報告されているが,塩素の定量法の研究はたいせつであると思われるが見あたらない.このため,試料中の微量塩素の分離に著者らが行なってきたアルカリ性溶液におけるイオン交換分離の研究を応用し,吸光光度法によって1ppm程度までの塩素を簡便に定量できる方法を研究した.試料を3M水酸化ナトリウム溶液に溶解後,強塩基性陰イオン交換カラム(Amberlite CG-400,OH形,100~200メッシュ,12mmφ×50mm)を用いて微量の塩素を分離し,0.5M硝酸アンモニウム溶液によって溶離した塩素を水銀(II)-ジフエニルカルバゾン錯体-ベンゼン抽出吸光光度法によって定量した.所要時間は約2時間であった。諸条件,回収率,共存イオンの影響などについて述べるとともに,実際試料中の塩素も分析した.