分析化学
Print ISSN : 0525-1931
ピバロイルアセチルメタンによる抽出分離とジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムとの配位子交換による銅の光度定量
越村 英雄
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1973 年 22 巻 1 号 p. 97-102

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抄録
ピバロイルアセチルメタン(PAM)により銅(II)を抽出分離したベンゼン相をジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(Na-DDTC)を含む水溶液で洗浄すると銅(II)-PAM錯体は容易にDDTC-銅(II)錯体に変わることを見いだしたので,PAMによる銅の抽出ならびに洗浄条件について検討を行ない,微量の銅を選択的に定量する方法を確立した.銅(II)はpH4.5以上の水溶液から0.1MPAM-ベンゼン溶液10mlで定量的に抽出される.この錯体を含む有機相を0.025%Na-DDTC水溶液(pH9.5)20mlで洗浄すればDDTC-銅(II)錯体が生成し,その錯体は436nmに吸収を示す.銅(II)の濃度と吸光度との聞には直線関係が認められ,436nmにおける見かけのモル吸光係数は1.37×104であった.定量に及ぼす共存イオンの影響についても検討した.またジエチルジチオカルバミン酸(H-DDTC)のベンゼン溶液を銅(II)-PAM錯体を抽出した有機相に添加することによって同様な結果を得た.
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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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