1973 年 22 巻 7 号 p. 816-819
従来のリングオブン装置は,いずれもろ紙加熱部が水平をなしており,円形ろ紙を使用するが,本装置では中心角36~180度の扇形ろ紙を垂直に立てて使用する点を特徴とする硬質ガラスの装置である.従来のリングオブン法に比べて,同じ試料液を使用するならば,扇形ろ紙の中心角により異なるが,2~10倍の希薄な溶液でも検出可能であり,また試料液量が1/2~1/10でも同一感度が得られた.系統的分離には若干の制限をうけるが,呈色試薬,マスキング剤などの検討により妨害物質の影響を少なくすることができる.特に単一物質の定性,定量にはすぐれた装置であった.