1973 年 22 巻 7 号 p. 843-849
塩素の酸素酸イオンの酸化還元電位に従い適当な還元試薬を用いておのおの別々に塩素イオンに還元したのち,硝酸銀標準液で回転白金電極とSCEを用いて短絡電流滴定することにより各成分イオンを定量する方法を確立した.すなわち,次亜塩素酸イオンは亜ヒ酸溶液で,次亜塩素酸イオンと亜塩素酸イオンとの混合物はホウ水素化カリウム溶液で,次亜塩素酸イオン,亜塩素酸イオンおよび塩素酸イオンの混合物は亜硫酸溶液で,次亜塩素酸イオン,亜塩素酸イオン,塩素酸イオンおよび過塩素酸イオンの混合物は亜硝酸ナトリウムで還元してそれぞれ塩素イオンとし,0.1N酢酸溶液と0.1N酢酸ナトリウム溶液を適当に加え,pHを約8.5に調節して硝酸銀標準液による電流滴定を行なった.個々のイオンは同一試料につき上記の還元操作を適当に選んだのちそれぞれ銀滴定することにより定量された.
また,本実験によると全イオンの混合溶液において,各成分イオンのモル濃度が10-3M(測定濃度10-4M)程度の場合には±3%の誤差で定量できた.