分析化学
Print ISSN : 0525-1931
ビス(4-スルホベンジル)ジチオカルバミン酸銅を用いる水銀(II)の間接吸光光度定量
田中 善正善木 住江
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1974 年 23 巻 10 号 p. 1190-1193

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抄録

かっ色のビス(4-スルホベンジル)ジチオカルバミン酸の銅キレートの水溶液が,水銀(II)イオンによって脱色する反応を用いた水銀の間接吸光光度定量について検討した.本試薬は水溶性が大きく,定量操作にまったく有機溶剤を必要としない.水銀イオンと置換して遊離した銅イオンは,過剰の試薬と反応して別種の1:1キレートを生成し誤差を生ずるが,この生成はpH4.5でEDTAの亜鉛キレートを添加して防止した.本法によって5ml中80μgまでの水銀イオンが定量できた.銀,鉄(III),銅,クロムおよび多量の塩の共存で誤差を生じた.
また試料溶液に銅キレート溶液を,もはや脱色しなくなるまで滴下し,その滴数から水銀の概略濃度を簡易に決定することができた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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