分析化学
Print ISSN : 0525-1931
メチルイソブチルケトンを用いるビス(8-キノリノラト)銅(II)の溶媒抽出ポーラログラフィー
北川 豊吉市村 彰男
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1975 年 24 巻 1 号 p. 41-44

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抄録

抽出溶媒としてメチルイソブチルケトン(MIBK)を用い,銅(II)を8-キノリノラト錯体としてMIBK相に抽出し支持電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウム(TBAP)だけを加え,そのまま非水溶媒中でポーラログラムを記録する銅(II)の定量法について検討を行った.
抽出されたビス(8-キノリノラト)銅(II)は-0.65V付近に拡散律速の還元波を示しその直流波高は水相中の銅(II)の量に比例することより定量が可能である.鉄(III),鉛(II)の8-キノリノラトキレートも良好な還元波を示すが,アルミニウム(III),カドミウム(II)キレートは測定可能な電位範囲内では還元波を示さない.鉄(III)キレートは銅(II)キレートよりも正電位で還元されるがクエン酸を共存させることにより鉄(III)がマスクされ銅(II)の定量が可能となり,鉛(II)キレートは銅(II)キレートよりも負の電位で還元されるので妨害とはならない.この方法により水相中の銅(II)を3×10-6M~1×10-4Mの濃度範囲で再現性よく定量することができた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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