分析化学
Print ISSN : 0525-1931
硫黄化合物のガスクロマトグラフィーにおける試料直接導入法とプレカラム導入法の保持時間の関係
星加 安之小島 一郎小池 一美吉本 健二
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1975 年 24 巻 7 号 p. 400-404

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抄録
代表的な33種の硫黄化合物についてガスクロマトグラフィーを行い,試料直接導入法と液体酸素温度からのプレカラム導入法の相対保持時間(前者がRtRd,後者がRtRp,内標準硫化エチル),及びその比(RtRp/RtRd)を求めカラム充てん剤の極性とカラム温度について検討した.充てん剤はトリス-2-シアノエトキシプロパン(強極性以下TCEPと略記),リン酸トリクレジル(微極性以下TCPと略記),ポジフェニルエーテル(微極性以下PPEと略記)の3種を用いた.
その結果,RtRp/RtRdの範囲はTCEPが0.7~1.7,TCPが0.7~2.0,PPEが0.5~2.2でTCEPが最も狭かった.一般的傾向としてこの値は低沸点(低分子)のものほど大きく,高沸点のものほど小さかった.
カラム温度の影響はTCEPで硫化カルボニル,TCPで硫化水素の大きな減少のほかはほぼ一定値で影響はなかった.しかし,PPEは硫化水素を含む13種が大きく減少し中・高沸点化合物でも影響があり,TCEPやTCPと比較してその差が明らかであった.本実験の結果,定性的にはRtRpをRtRdから予測することが可能になった.
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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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