1978 年 27 巻 6 号 p. 329-333
金属抽出分析における協同効果の応用例として,カドミウム(II)-ジチゾン錯体抽出に対する中性塩基による協同効果を検討するとともにカドミウム(II)の亜鉛(II)からの分離を試み好結果を得た.ジチゾン(H2Dz=0.002%)-2,2'-ジピリジル(dipy=0.1M)の四塩化炭素溶液で,pH5.0の0.1Mの塩化ナトリウム溶液から抽出すれば,カドミウム(II)を亜鉛(II)から完全に分離できる.抽出錯体の組成はCd(HDz)2(dipy)であり,亜鉛(II)-ジチゾン錯体抽出に対しては2,2'-ジピリジルがマスキング剤として作用することが分かった.