分析化学
Print ISSN : 0525-1931
薄層クロマトグラフィー-デンシトメトリーによるベンゾイルアセトン及びトリフルオロアセチルアセトンの金属キレートの幾何異性体の分離と定量
山崎 満五十嵐 理恵子一ノ木 進
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1982 年 31 巻 12 号 p. 702-707

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抄録

ベンゾイルアセトン(BA)及びトリフルオロアセチルアセトン(TFA)のコバルト(III),クロム(III),ロジウム(III)キレートの幾何異性体の薄層クロマトグラフィー(TLC)による分離とデンシトメトリーによる定量法を検討した.酸化アルミニウム,シリカゲル,シラナイズドシリカゲルを吸着剤として使用し,ベンゼンなどの5種の単一展開溶媒を用いるか,ヘキサン又はトルエンをべースにした19種の混合展開溶媒を用いたとき,各キレートのシス,トランス異性体は20分の展開時間で良好に分離した.薄層上の異性体の定量法にジグザグスキャンニング方式と検量線リニアライザー機構を組み込んだTLCスキャンナーを用いる方法を検討した結果,異性体の検出限界は1μl試料に対し,(2~8)×10-6mol/lであり,検量線は(10-5~10-3)mol/lの濃度範囲で直線を示し,定量値の変動係数はシス体,トランス体に対し,それぞれ,平均1.2%,0.47%であり,定量結果は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による方法と良く一致した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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