分析化学
Print ISSN : 0525-1931
ガスクロマトグラフィーによる大気汚染物質芳香族ニトロ化合物の定量
大気中の芳香族ニトロ化合物に関する研究(第2報)
森田 邦正深町 和美常盤 寛
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1982 年 31 巻 5 号 p. 255-260

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抄録

大気試料中の微量芳香族ニトロ化合物の分析法について検討した.芳香族ニトロ化合物を塩酸と亜鉛で還元して芳香族アミンとし,ベンゼンで抽出後ヘプタフルオロ酪酸無水物(HFBA)を反応させHFB誘導体に変換して,電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフ(ECD-GC)を用いて測定した.充てん剤には3% Dexsil 400 GC,2% PZ 179及び3% OV-17を用いた.この結果,芳香族ニトロ化合物として(20~200)pgで直線性の検量線が得られ,大気浮遊粉じん試料を用いた添加回収実験の回収率の平均値は1-ニトロピレン1.0μg及び0.1μg添加でそれぞれ94.5%及び91.9%で変動係数はいずれも5%以内である.又,3-ニトロフルオランテン,2,7-ジニトロフルオレン,4,4'-ジニトロビフェニル,2-ニトロフルオレン,1-ニトロナフタレン,2-ニトロビフェニルなどの回収率についても良好な結果が得られた.本法を応用し,大気浮遊粉じん試料及びディーゼル排ガス中から1-ニトロピレンを検出した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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