分析化学
Print ISSN : 0525-1931
二ケイ化モリブデン及びフェロシリコン中のケイ素の電位差滴定法のためのフッ化物イオン選択性電極の利用
中村 佳右山口 仁志大河内 春乃
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1986 年 35 巻 7 号 p. 603-608

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抄録

二ケイ化モリブデン及びフェロシリコン中のケイ素の定量にフッ化物イオン選択性電極を使用した電位差滴定法を確立した.試料を硝酸及びフッ化カリウムを含むフッ化水素酸で分解後,低温維持漏斗を使用してヘキサフルオロケイ酸カリウムを沈殿分離した.それを硝酸ナトリウム温溶液に溶解し,一定量に希釈後,その一部を採取し,全イオン強度調整緩衝溶液を加えてpHを5.3~5.4に調整した.硝酸ランタン標準溶液で電位差滴定を行い,滴定曲線から,作図法により当量点を求めた.対象としたケイ素濃度範囲(20~80%)で合成試料(モリブデン+ケイ素)を調製し,回収率を求めたところ,平均99.98±0.03%となった.更にフェロシリコン標準試料(JSS 720-3, si:75.94%)の定量結果は75.94%{n=6,R.S.D.(相対標準偏差)=0.054%}と精度,正確さともに良好な結果が得られた.実試料では,本法によると36.64%(n=7,R.S.D.=0.065%)となった。なお,中和滴定法によると36.4%(n=7,R.S.D.=1.26%)であった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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