分析化学
Print ISSN : 0525-1931
ポーラスポリマービーズ,2,6-ジフェニル-p-フェニレンオキシド捕集管を用いた環境及び生体試料中の低級脂肪族多硫化物の濃縮と予備分離
星加 安之村山 忍三武藤 義一
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1987 年 36 巻 11 号 p. 766-771

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抄録
不快臭,導管腐蝕,触媒毒などの原因となる極微量低級脂肪族多硫化物のGC分析のための前処理法について研究した.本前処理法は,室温のポーラスポリマービーズ試料捕集管(16cm×4mm i.d., 2,6-ジフェニル-p-フェニレンオキシド, Enka nv Arnhem/オランダ製,商品名Tenax-GC,60/80メッシュ)に吸着濃縮された多硫化物について,窒素を通じた際の各々の成分の破過容量の差を利用して低~中沸点硫黄化合物と多硫化物とを予備分離する手法に基づいている.本実験条件でのチオフェン,二硫化ジメチル,テトラヒドロチオフェン,二硫化ジエチル,三硫化ジメチルの破過容量(10%脱離を指標とした)は,それぞれ4.5,25,28,450,600 1であった.従って,本法によれば多量の付臭剤(テトラヒドロチオフェンなど)の存在する都市ガス中三硫化ジメチルや,複雑な組成のレギュラーガソリンなどの環境試料及び尿などの生体試料中の多硫化物を気相において効率よく予備分離可能である.予備分離時間は,60分以下であった.
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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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