1988 年 37 巻 7 号 p. 371-375
オゾンを窒素-酸素混合ガスで希釈し,エチレン化学発光法及び紫外線吸光光度法で測定したところ,後者の応答は酸素濃度によらなかったのに対し,前者の応答は酸素濃度に強く依存した.特に,酸素濃度が低い領域での応答の急激な低下は,既に報告されている酸素濃度が高い領域での応答の低下と比べて著しいものであった.アルゴン及び二酸化炭素による干渉は,酸素によるものよりも極めて小さいものであった.以上の結果は,これまで酸素による応答低下の原因として考えられてきた電子的に励起されたホルムアルデヒドに対する酸素の大きな消光効果では説明できず,むしろ酸素が振動的に励起されたOHなどの発光化学種の生成を妨げるためであると考えられる.エチレン化学発光法オゾン測定においては,校正時と測定時の酸素濃度を低くないレベル(>10%)で一致させるべきであり,そうしない場合には大きな測定誤差が生じ得ることが明らかとなった.