分析化学
Print ISSN : 0525-1931
ビス(ジフェニルホスフィノ)アルカン-銅(II)錯体を用いる陰イオン選択性電極
鎌田 薩男野村 信治大橋 弘三郎
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1990 年 39 巻 11 号 p. 677-681

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抄録

新しい陰イオン感応物質としてビス(ジフェニルホスフィノ)-エタン(BDPPE)及び-プロパン(BDPPP)の銅(II)錯体を用いるポリ塩化ビニル膜型のイオン選択性電極を試作し,その応答特性を検討した.銅(II)とBDPPEは組成比1:2の錯体を形成し,電極反応は錯体の対陰イオンの交換反応による.塩化物イオン選択性電極では,検出下限は1.3×10-5mol dm-3,pH範囲3.7~9.0,応答時間は5秒以内で安定電位を示す.共存イオンの影響は親水性イオンに対する妨害が少なく従来のイオン交換型塩化物イオン電極より良好であった.膜被覆炭素棒型電極では,検出下限は塩化物イオン,硝酸イオン,過塩素酸イオンの順に向上し,過塩素酸イオンでは10-7mol dm-3まで検出され高感度であった.BDPPE,BDPPPの銅(II)錯体は新しい陰イオン感応物質として有用である.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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