抄録
化学結合型イオン交換樹脂(SAM)の充てんカラムは陰イオンクロマトグラフィー用として開発された.溶離液として炭酸系を用いて分離後,除去システムと電導度検出器を組み合わせた検出方法により,各種の陰イオンや有機酸が分析されている.しかし,このカラムでは炭酸系以外の溶離液についての保持挙動はほとんど研究されていない.本報では異なる装置間でのカラムの互換性を図る目的でフタル酸水素カリウム溶離液での有機酸の保持挙動を明らかにした.又フタル酸系溶離液を使用する場合の最適条件を検討した結果,2.5mMフタル酸水素カリウム,流量1.6ml/min,カラム温度40℃で10種類の有機酸の一斉分離が30分以内で達成できた.各種食品中の有機酸の相互分離及び定量分析に本法を適用した.