1991 年 40 巻 11 号 p. 599-603
海洋性気候と内陸性気候の影響下で進行する金属の腐食性を比較するため,徳島県と長野県の数か所の観測点において,銅板を大気に暴露し,定期的に試料の回収を行い,それらの腐食表面の分析を行った.銅板の表面分析には,主としてFT-IR法を用いた.その結果,両方の県の試料から,その腐食表面にニトラト,スルファト,ヒドロキソ錯体などの生成物と,Cu2OやCuOなどの表面酸化物の生成も認められた.又,いずれの試料においても,春から夏にかけて腐食反応の著しい増大が見られた.長野県の松本盆地の試料に見られる臨海型の腐食性について,風向と地形図からも検討を行ってみた.