1992 年 41 巻 6 号 p. 243-250
本研究では,古代染織遺物の染色に使用された染料を非破壊的に同定することを目的として,植物や動物から得られた染料で染色した染織物に直接励起光を照射し,三次元蛍光スペクトルを測定して,その蛍光強度の等高線図を比較検討した.この結果,等高線図上に年輪状の輪で描かれた蛍光スペクトルピークの位置で染織物に染着している染料固有の蛍光特性が励起波長と蛍光波長によって特定できることを確認し,染織物を破壊することなく染着している染料をそれぞれ識別できることが明らかとなった.