分析化学
Print ISSN : 0525-1931
スラリー導入/黒鉛炉原子吸光法による酸化チタン中の銅,カルシウム,マグネシウム及びビスマスの定量
老松 俊雄中原 武利
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1996 年 45 巻 10 号 p. 959-963

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抄録

市販されている5種類の酸化チタン(IV)紛末を,ヘキサメタリン酸ナトリウムを分散剤とする水系スラリーとしてマイクロピペットで黒鉛炉に導入,直接加熱する原子吸光法によって,微量含まれる銅,カルシウム,マグネシウム及びビスマスを定量した.酸化チタンマトリックスの影響は加熱条件の最適化によって軽減した.同じ試料をICP-AES及びICP-MSで測定した結果,前者では銅,マグネシウム及びビスマスでマトリックス元素の分光干渉があり,後者では銅,カルシウム及びマグネシウムで妨害ピークが重なった.このためにいずれも低濃度域での定量が困難であった.これに対して本研究では原子吸光分析法を用いることで十分に満足できる結果が得られ,定量下限は酸化チタン中でそれぞれ0.2μg/g(銅),1μg/g(カルシウム),0.3μg/g(マグネシウム)及び0.4μg/g(ビスマス)であった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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