分析化学
Print ISSN : 0525-1931
イオン交換分離/誘導結合プラズマ質量分析法による有馬温泉水中の希土類元素群の定量
辻 治雄藤原 慎次朗茶山 健二寺西 清礒村 公郎
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1998 年 47 巻 10 号 p. 699-705

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抄録

誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)による有馬温泉水中の希土類元素群(REE)の定量を目的とし,キレート型イオン交換樹脂を用いたREEの分離・濃縮法を確立した.有馬温泉水に高濃度含まれREEの分離を妨害する鉄を塩化物錯体として陰イオン交換樹脂に吸着除去した後,pH5.5に調節してキレート樹脂を用いるバッチ法によりREEを吸着分離し,これを2MHNO3で溶離して,ICP-MSで定量した.この温泉水中に数十mg dm-3含まれ,REEとともに樹脂に吸着し,Euの定量に大きく干渉を及ぼすBaは,吸着処理後,樹脂をMgイオンを含む溶液で洗浄除去し,測定溶液への混入量を抑え,なおわずかに残留するBaからの干渉分は定量値を補正した.この方法により,試水中に溶存する高濃度の主溶存塩類からREEを分離することができ,ICP-MS法により相対標準偏差10%以下での定量が可能となった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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